薬局の行動規範

調剤薬局がこの国に5万7千店(コンビニよりも多い件数)も乱立したことについて、客観的に検証してみたいと思います。

院内で調剤してもらってた時代、お薬払い出しのアナウンスを、病院の会計ベンチで待つ時間は苦痛でした。門前の調剤薬局へ行くスタイルに変わり「早く、確実に、愛想良く」お薬をもらえるシステムへ、調剤はお客さんのために進化を果たしてくれた。単純に当時20代だった末田は、そのように感じていました。

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時代は政府誘導の分業政策という追い風で、肥大化したチェーンの調剤薬局は大企業の態をなすグループと化していき、上場企業をいくつも輩出するほど社会での影響も大きくなっていきました。薬品物販という面では、我が国の消費経済や短期的な雇用にも、プラスの影響を及ぼした感じ(幻想)はあるようにも思います。

しかしながらです。ここからは大事なポイントをお話しします。

製薬会社(地元製造メーカー)が上場することと、チェーン調剤薬局(特殊小売業者)が上場することとは、根本的に意味が違うのです。

生産性があって税金を払える企業か、そうでない社会のぶら下がり団体か。前者は雇用を生み続けることで、社会貢献を果たしていける企業です。後者が雇用をどんどん生み出すと、ますます社会保障費の増加が止められなくなってしまいます。

この意味を詳しく説明しましょう。保険調剤(保険医療)というものに関して、「逆向きの経済」という言葉を末田は使います。公費での治療(負担は軽く実費でない)を必要とする人(患者)に対応し、公費(医療保険)をつかって儲けようとする人(医療従事者、製薬メーカー)が多ければ多いほど、病人の総数は増え続けていきます。その結果、この国の生産性はどんどん悪くなっていき、国の基礎体力(財源)も疲弊していきます。不道徳な言いかたかも知れませんが、病人が増えることと、国の労働力が下がることは、比例する関係にあります。家庭の中に介護や医療が必要な家族(高齢者など)が多いほど、その他の家族(働き盛りや就学期)は仕事や学校にも行けず、家庭の将来性(先攻投資)や生産性(経済活動)はそこで頓挫してしまうことになります。

薬局というものの存在価値は、介護施設や病院のそれと意味が違います。社会福祉法人や医療法人といった枠組みでないことは、そのことを現しているとおもいます。だから株式会社の薬局経営(社会にぶら下がらない)に、末田は将来の希望をみるのです。

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これからの調剤薬局は、ここまでの逆向きの経済を反省し、価値観を転換し、正しい利益を生み続け、もの(サービス)をつくりだす企業へ脱皮していかなければなりません。6万件にせまろうという調剤薬局の例えば半数(3万件)が、地元で薬となる木や草を植栽加工して実費での未病対策へ乗り出したなら、参加型の医療を実現し社会保障費の急激な伸びを抑えることはできないでしょうか。

薬の業界が正しい向きの経済へ動けば、社会保障のあり方自体が転換していくでしょう。 その先駆者となるものは、悩み、傷つき、中傷の的になってしまうこともあるかも知れません。

「君の志は何か」

そう問われたら、末田はこたえます。

「未来のためになる仕事を今ここで行う」

どうか、力をかしてください。

 

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