「あなたが本当にしたいことは何ですか?」
今日の末田芳裕は有り難いことに、とても哲学的な質問をうけました。
かろうじて平静を装い、にこやかにおこたえしました。
「おおきな空をながめながら、ひたすらビールの空き缶を、つくりだすことです。」
やっとひとりになり、質問の意味を深く考え、真剣に受け止めつつあります。
言行不一致な僕に、それでもまだ期待してくれて、そう問いかけてくださったのだと思います。
去年からはじめた「薬膳料理教室の東洋医学講師」は、ずっとサボってばかりです。
二十年続けている「くすりの適正使用」に関する中学校での講演も、今年に入り断り続けています。
お茶の稽古は、もう何年もやっていません。
大好きな茶碗つくりも土ひねりも、いったい何処へいってしまったのでしょう。
粋がってた三十代前半の僕に「アドバイス」をくださった湯郷鳥越先生の笑顔を、僕はいま思い出しています。
「保険調剤はまともな薬剤師が手を出すビジネスモデルじゃありません。あれは薬局のあるべき姿を狂わす麻薬になると思います。」
巨大調剤チェーンがジェネリック工場を何十億で買い取るなんて考えもしなかった時代の言葉。くすりを使って簡単に儲ける手段をおぼえた猿は、なんちゃら学会とやらのエセ権威のもと、行き過ぎた薬物療法を繰り返すようになっていきました。
僕は勉強不足で実は病気のことを何も知りません。医学のことも薬学のことも何も知らないくせに、大学から学生さんを引き受けたりして恥ずかしいおもいばかりしています。ただ勘だけは昔から冴えていて、あぶないものは天性の鼻でニオイを感じとります。
原子力産業、通貨発行権、軍需景気、医薬品業界。
みんなあの時の福島を忘れたのでしょうか?忘れっぽい人は、家のとなりにミニ原子力発電所を誘致することを想像してみてはどうでしょう。
お金のために身売りする女性が、会社の奴隷になって働く男性が、現在も後を絶ちません。幸せとお金が反比例するわけではありませんが、お金に心をとらわれてると真理が見えにくくなってしまいます。
誰しも戦争は嫌いです。だけど自分に関係ないところでの人殺しは黙殺してしまいがちです。あなたの兄弟が、子どもたちが、あなたのつくった銃弾で死んでいくことを想像してみてください。
あなたの服用した合成化学物質が、この星の水を汚し続けていることを想像すれば、薬物治療に何を使うべきかは誰だって容易に分かるはずです。医師免許をもった人の言うことが百年後も正しかったという歴史は、過去どこにもありません。
薬局も、診療所も、もちろん病院も、そこに従事する人間たちも、誰よりもまず末田芳裕が「もっともっと」という気持ちを捨てるべきです。
売り上げを追わず、本当にやらなければならないことを、全身全霊で真摯に追い求めるときです。
僕はそろそろ、みなさんのお陰で、そちらへシフトしていけそうです。