今回の開催が8回目となる「被災木を奏でる」音楽会。震災を忘れないための「コンサート」を、僕が支援し続けているのはなぜでしょうか。音楽療法士であるフルート奏者古澤先生の真面目でひたむきな人間性。その実直なお人柄と誠実な行動が、いい加減な僕でさえ被災地支援を継続させていることは事実です。
末田薬局という会社の「増益増収体質」に、社長である僕自身が矛盾を感じ、何かしらの社会行動を始めたいと考えていた時期でもありました。
不必要とも考えられる医薬品を、保険医療というシステムの中で販売し利益を出し続けていること。そのことへの後ろめたさが、カフェで行う慈善活動の原動力となっているのだろうとも思います。「この国の薬物療法がこのままではいけない」という魂のさけび。自分自身を救うための「こころの発信」を続けているのだろうって感じています。
ただの売名偽善行為だと言われたこともあります。これまでの流れを変えようとする行動って、きれいなメッセージだけじゃだめなんですね。新しい価値を生み出すたくましさと、けっしてあきらめない闘争心をもっていないと。さまざまな既得権益からの批判、誹謗中傷、信念が無いとそういうものを論破することはとうていできません。
パリでの無差別殺人と、レバノンでの無差別殺人。世界の対応の違いに、命の重さと軽さを現実に教わる時間。一部の金持ちに貧しい人々が搾取されている資本主義の現実、世の中の不条理。ネット上で夢を語り続けても、現実は何も変わりません。理想を実現するためには、リアルな行動が重要だと末田芳裕は考えます。
被災して死んだ木を、もう一度よみがえらせる古澤さんの行動。
被災木の奏でる澄んだ音色。
無言のメッセージが、いまも白い空間に響いています。